Coolify vs Dokku vs CapRover:セルフホストPaaSの選び方

開発基盤・IaC・DevOps中級
DockerPaaSCoolifyDokkuCapRover自己ホスト

TL;DR

  • Coolify: Web UIが最も充実。280以上のワンクリックサービス、自動SSL、自動バックアップを内蔵。オープンソース版は無料(Apache-2.0)だが、公式が案内する最小要件は3つの中で最も高め(2コア/2GB RAM/30GB空き)。
  • Dokku: git push でデプロイするHerokuクローン。公式に自前のWeb UIはなく、CLI操作が基本。必要メモリは1GBからと軽量で、MITライセンス。
  • CapRover: Web UIとワンクリックアプリを備えつつ、公式推奨メモリは1GB程度と中間的。ライセンスはApache 2.0。
  • どれも「Dockerが動くLinuxサーバー1台があれば、Heroku的な git push デプロイを自前で持てる」という点は共通。違うのはGUIの有無必要スペック・学習コスト
  • 迷ったら「チームでダッシュボードを共有したいか」「格安VPSでも動かしたいか」の2軸で選ぶのが早い。

セルフホストPaaSとは何か

セルフホストPaaS(Platform as a Service)とは、ひとことで言えば「Herokuのように git push するだけでアプリがデプロイされる仕組みを、自分のサーバー上に構築するツール」です。

Heroku・Vercel・Railwayのようなマネージド型PaaSは便利ですが、月額費用がかかり、規模が大きくなるほど請求額も伸びていきます。セルフホストPaaSは、VPSを1台借りて自分でツールを入れることで、同じような開発体験(Gitでpushすれば自動ビルド・自動デプロイ・自動SSL)を、サーバー代だけで手に入れようという発想です。

裏側の仕組みは基本的にDockerです。アプリをコンテナとしてビルドし、リバースプロキシ(Nginx等)経由で公開し、Let’s Encryptで自動的にHTTPS化する、という構成が3ツールともほぼ共通しています。DockerとVMの違いから理解したい場合は コンテナとVMの違いと使い分け を先に読むと前提が揃います。また、PaaSに頼らずDocker Composeだけで自己ホストを組みたい場合の最初の一歩は Docker Composeで自己ホストを始める にまとめています。


3つの比較表

基本情報(UI・ライセンス・学習コスト)

項目CoolifyDokkuCapRover
Web UIあり(ダッシュボード + リアルタイムターミナル)公式には無し。CLI操作が基本(公式サイト・ドキュメントにUIの記載なし)あり(ダッシュボード)
デプロイ方式Git連携 + Docker Compose対応git push dokku mainリポジトリ連携 or tarballアップロード
ライセンスApache-2.0(GitHubで確認)MIT(GitHub README記載)Apache 2.0(公式サイト記載)
学習コスト(体感)中〜やや高(機能が多い分、覚える項目も多い)高め(CLI前提。Heroku経験者なら早い)低(UIとワンクリックアプリで直感的)
有償プランセルフホストは無料。別途マネージド版「Coolify Cloud」あり本体は無料。有償サポート版「Dokku Pro」を公式が案内公式サイトでは無償版のみ確認(有償プランの記載は見当たらず)

必要スペック(各公式ドキュメントの最小要件)

項目CoolifyDokkuCapRover
CPU2コア(公式インストールガイド記載)明記なし。AMD64/arm64対応明記なし。AMD64/ARM64/ARMv7対応
メモリ2GBDockerスケジューラ利用時1GB〜(K3sスケジューラなら各ノード2GB以上)1GB以上推奨(公式に「512MBでは不足の可能性」と明記)
ディスク30GBの空き容量明記なし(用途に応じて要確保)明記なし
対応OSUbuntu/Debian系・RedHat系・SUSE系・Arch・Alpine・Raspberry Pi OS(64bit)Ubuntu 22.04/24.04 または Debian 11+(x64)Ubuntu 22.04推奨(24.04も複数ユーザーが動作確認済みと公式が案内)。Docker 25+必須

必要スペックだけを見ると、Dokkuが最も軽く、Coolifyが最も要求が高いという並びになります。格安VPS(1GB RAMクラス)で動かしたい場合はDokkuが現実的な選択肢になりやすく、逆にCoolifyは2コア/2GB以上のプランを前提にしたほうが安全です。VPS自体の選び方は 個人開発者のVPS選び方 を参照してください。

対応言語・フレームワーク

ツール対応の考え方
Coolify公式サイトでは「幅広い言語・フレームワークに対応」「静的サイト・API・バックエンド・データベース・280以上のワンクリックサービス」とされるが、対応言語の具体的な一覧までは公式トップページに明記がない(詳細は公式ドキュメントで要確認)。
DokkuHeroku buildpacksベース。buildpackが対応していればNode・Ruby・Python・PHP・Java等の主要言語を自動検出してビルドできる。Dockerfileを使った直接デプロイにも対応。
CapRover公式にNode.js・Python・PHP・Java・Ruby・.NETへの対応を明記。コンテナ化できるアプリであれば基本的に何でもデプロイ可能。

補足として、CoolifyとCapRoverはいずれも複数の第三者の技術ブログでDocker Swarmを内部で利用していると報告されています(公式ドキュメントでの明記までは確認できていないため、正確な挙動は各公式ドキュメントで要確認)。マルチサーバー構成を検討する場合はこの点を導入前に公式情報で裏取りすることをおすすめします。


それぞれ向く用途

個人開発者・格安VPSで動かしたい人 → Dokku 公式が案内する最小メモリが1GBからと3つの中で最も軽量です。UIを求めず、git push の感覚に慣れているなら、最小構成のVPSでも十分動きます。ただし公式にはWeb UIがないため、GUIでの管理を期待しない前提が必要です。

とにかく直感的に始めたい人・One-Clickでツールを増やしたい人 → CapRover Web UIがあり、ダッシュボード上でアプリを管理できます。必要メモリもDokkuとCoolifyの中間程度で、公式ドキュメントも「まず動かす」ことに寄せて書かれている印象です。

チームで運用したい人・機能をまとめて内蔵したい人 → Coolify 自動SSL・自動バックアップ・サーバー監視・280以上のワンクリックサービスなど、機能がひとつのUIに集約されています。その分、公式が案内する最小要件も高め(2コア/2GB/30GB)なので、ある程度余裕のあるVPSプランを前提に選ぶのが安全です。


導入の最小手順イメージ(Coolifyの場合)

3つの中では最もUIが充実しているCoolifyを例に、最小の流れだけ押さえておきます(細部は公式ドキュメントで要確認)。

  1. Ubuntu/Debian系などサポート対象OSのVPSにSSH接続する

  2. 公式のインストールスクリプトを実行する

    curl -fsSL https://cdn.coollabs.io/coolify/install.sh | sudo bash
  3. インストール完了後に表示されるURL(例: http://<サーバーIP>:8000)にブラウザでアクセスする

  4. 最初にアクセスした人が管理者アカウントになる仕様のため、他人に先にアクセスされないよう自分がすぐに管理者登録を行う

  5. 管理画面からGitリポジトリを連携し、デプロイ設定を行う

DokkuやCapRoverもそれぞれ公式ドキュメントに同様のワンライナー導入手順が用意されています。どのツールを選ぶ場合も、まず1台の検証用VPSで試してから本番に反映する流れが安全です。


まとめ

観点CoolifyDokkuCapRover
向く人チーム運用・機能を一元管理したい人CLI派・格安VPSで動かしたい人まず直感的に始めたい人
UIあり(高機能)公式には無しあり
必要スペック目安2コア/2GB/30GB1GB〜(構成による)1GB前後
ライセンスApache-2.0MITApache 2.0

3つとも「Dockerが動くサーバー1台でHeroku的な体験を持つ」という土台は同じです。違いはUIの有無と必要スペック、学習コストに集約されます。まずは検証用の1台に実際にインストールして、自分の運用スタイル(CLI派かGUI派か、チームか個人か)に合うかどうかを確かめるのが遠回りに見えて一番早い選び方です。

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