固定電話の番号をスマホで使う前に確かめる6つのこと(クラウドPBX)
本記事はアフィリエイト広告を含みます。料金・約款・制度の内容は、2026年9月末に各社の公式ページと約款で確認したものです。
39,600円と2,500円。前の金額は、NTT東日本の加入電話を新しく引くときの施設設置負担金です。後ろの金額は、クラウドPBX(会社の電話をネット経由でスマホなどから使えるようにするサービス)の一つ、CLOUDPHONE が告知している市外局番の発行費です(税抜)。同じ告知には、新しい住所で導入する場合の基本工事費2,800円も載っています。負担金と発行費は中身の違う費用なので、そのまま比べられる金額ではありません。
月々の金額も並べてみます。NTT東日本の告知の表では、事務用3級の月額は、2026年4月1日の改定で2,750円から3,080円になりました(税込)。CLOUDPHONE の公式ページに載っている市外局番の月額は990円です(税込)。
ただし、料金表で990円なのは市外局番の番号料金です。ID の料金(スマホは端末ごとに月825円)は、別の行に載っています。この番号ではできないこともあります。この記事は、その差を契約の前に確かめるためのものです。
在宅勤務の制度はあるのに、電話が鳴るからと自分だけ出社している。それを終わらせたいけれど、「電話番が嫌だから」とは言い出しにくい。そう感じている人は少なくないはずです。電話番のための出社は、仕事の中身の問題というより、電話が置いてある場所の問題です。
この記事で分かるのは、次の3つです。
- クラウドPBX で何が変わり、何ができなくなるか
- 契約の前に確かめる6つのことと、それぞれの確かめ方
- クラウドPBX が要らない人の条件
契約の条件は、株式会社Wiz の CLOUDPHONE の約款(2026年3月13日版)と、同社の告知をもとに書いています。
クラウドPBXとは:固定電話の交換機をネットの向こうに置く仕組み
PBX は、会社の中で電話を取り次ぐ交換機のことです。クラウドPBX は、その役目を事務所の機械ではなく、ネットの向こう側のサービスに任せます。だから、事務所にいなくても、会社の番号にかかってきた電話をスマホで受けられます。
CLOUDPHONE が扱う番号は、市外局番・050・0120 です。Wiz は、法人でも個人事業主でも利用できると案内しています。スマホのほか、パソコンのアプリや専用のビジネスフォンでも使えます。スマホで使う場合に要るのは、手持ちのスマホとインターネット環境です。海外では利用できません。
050 の番号だけでよいなら、もっと手軽な方法もあります。たとえば 050 のアプリ電話 LaLa Call は、月額基本料が390円です(ユニバーサル料・電話リレーサービス料は別)。なお、050 のアプリ電話も、契約のときの本人確認の対象になっています。
通話品質の「Aクラス」という案内の読み方
Wiz は CLOUDPHONE について、総務省が定める通話品質調査でAクラスを獲得した、と案内しています。これは Wiz 自身の案内です。
一方で、同じ Wiz の約款は、このサービスは音声通信品質を保証するものではなく、常時接続も保証しない、と書いています。インターネット回線が混んでいると、品質が下がったり、通話が切れたりする可能性がある、とも書かれています。
案内の言葉と約款の言葉は、両方読んでおくと判断しやすくなります。
仕事用の番号を分けるということ
私用の携帯に仕事の電話が混ざっていて、知らない番号が鳴るたびに身構えてしまう。そういう人もいるのではないでしょうか。
仕事用の番号を分けて、出る時間を自分で決める。それは電話から逃げることではなく、仕事と生活のあいだに線を引くことです。
契約前に確かめる6つのこと
電話回線に詳しくなる必要はありません。聞くことが6つ決まっていれば、見積もりの場で自分の条件に合うかを判断できます。
あとから縛りや追加料金が出てきたら、決めた自分の責任になる。その不安には根拠があります。これから見るとおり、約款に書かれていない条件がいくつもあるからです。
1. その地域の市外局番が取れるか
CLOUDPHONE で取得できる市外局番は、14都道府県の分です。Wiz のサポートページの一覧にあるのは、北海道・宮城・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨・愛知・岐阜・京都・大阪・兵庫・広島・福岡です。同じページに、地域によっては取得できない場合がある、という注記もあります。
Wiz のサービスページの見出しはもっと広い言い方をしていますが、同社の一覧に載っているのはこの14都道府県です。約款も、番号を提供するのは「当社が別に定める提供エリア」に限る、としています(別紙第3条2)。
この一覧に無い地域で使う場合は、050 の番号が中心になります。
確かめ方: 事業の拠点がある市区町村を伝えて、その市外局番が取れるかを聞きます。
2. 登録する住所で申し込めるか
名刺に市外局番を載せたい、という気持ちは自然なものです。相手に連絡先を示したい、という気遣いでもあります。ただ、市外局番を申し込むときは、住所が問われます。
別のクラウドPBX である 03plus(株式会社グラントン)の告知によれば、固定電話番号の発行には、利用者の「活動の拠点」がその番号の地域の中にあることが必要です。同じ告知は、バーチャルオフィスや貸会議室は「活動の拠点」とみなされない、としています。03plus は、その地域に拠点があることを証明する書類と、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類が要る、とも案内しています。
CLOUDPHONE の約款には、「活動の拠点」についての条項はありません。あるのは、登録住所がバーチャルオフィスの場合、Wiz は契約を結ばないことがある、という条項です(第3.3条1(9))。一方で Wiz 自身のメディア記事には、バーチャルオフィスと併用することで固定電話番号を取得できる、という記述があります。約款と記事を読み比べると、扱いがはっきりしません。
また、約款には、申込時に届け出た住所や利用場所が変わったら直ちに届け出る義務があります(第5.4条1)。移転したあとも同じ番号を使い続けられるかは、約款に書かれていません。
確かめ方: 登録する住所をそのまま伝えて、その住所で申し込めるか、移転したら番号がどうなるかを、書面(メールでも可)で答えてもらいます。
3. 月額はいくらになるか
約款に、月額や通話料の金額は書かれていません。金額は「申込内容確認の電子メール」に従うこと、Wiz は利用者に通知したうえで料金を随時改定できることが定められています(第4.1条1・3)。
公開されている金額は次のとおりです。
| 項目 | 公式ページの表示(税込) |
|---|---|
| 市外局番の番号 | 月990円 |
| 050 の番号 | 月330円 |
| 0120 の番号 | 月3,300円 |
| ID(パソコン・電話機) | 端末ごとに月550円 |
| ID(スマホ) | 端末ごとに月825円 |
| 管理システム | 7,150円 |
月額は「ID+番号+管理システム+通話料」を足したものになります。公式ページの見出しは「最安月額990円から」です。料金表で990円なのは市外局番の番号料金で、ID と管理システムは別の行に載っています。管理システムの7,150円が必ずかかるのかは、Wiz のページによって書き方が違い、確認できませんでした。
料金は2026年に入ってから改定が続いています。2026年4月1日の申込分から、市外局番の利用料が月1,000円から900円に、追加チャネルが月150円から350円になりました(いずれも税抜)。チャネルは、一般に同時に通話できる数を指します。CLOUDPHONE での数え方は見積もりで確かめてください。2026年8月1日の申込分からは、0120 の番号の利用料が月2,000円から3,000円になりました(税抜)。
通話料の金額は、公式ページ・サポートページ・料金改定の告知・約款のどこにも載っていませんでした。電話をかけることが多い事業なら、ここが月額を左右します。
請求についても、知っておきたいことがあります。料金は Wiz が指定する回収代行業者を通じて請求されます(第4.1条7)。Wiz のサポートページは、請求元の「株式会社どこよりも」は CLOUDPHONE の料金回収代行で提携会社だと案内しています。知らない社名の請求に驚かないよう、経理の担当にも伝えておくと話が早くなります。適格請求書(インボイス)には対応している、と Wiz は案内しています。
確かめ方: 使う人数と番号の種類を伝えて、管理システムと通話料を含めた月額の合計を、見積もりの書面でもらいます。
4. 初期費用に何が含まれるか
2026年4月1日の申込分からの告知では、初期費用は次のとおりです。この告知には税の表記がありません。同社の別の告知が税抜で書かれているため、税抜として読んでいます。見積もりで税込の額を確かめてください。
- 基本工事費: 2,800円(新しい住所でサービスを導入する場合に請求)
- 市外局番発行費: 2,500円
- 番号ポータビリティー費: 2,000円(今使っている番号を持ち込む手続き)
- 追加チャネル: 1,400円
- 移転手続き費用: 1,400円
もう一つ、約款には、初期導入サービスは Wiz と個別に合意した場合を除いて本サービスに含まれない、と書かれています(第2.1条1)。設定を手伝ってもらえるのか、それは料金の中なのかは、約款からは分かりません。
確かめ方: 自分の申し込みでかかる初期費用の内訳と、初期の設定を誰がやるのかを、見積もりに書いてもらいます。
5. 契約期間と解約の締め日
約款には、契約期間・最低利用期間・自動更新・解約金についての条項がありません。書かれていないからといって、縛りが無いとは言えません。プランや申込書の側に条件がある可能性があるためです。期間と解約金は、見積もりの段階で書面にしてもらってください。
約款に書かれているのは、次の点です。
- 締め日: 解約の届け出は、毎月15日までに届けば当月の解約、16日以降は翌月の解約になります(第7.1条1)。15日が土日祝の場合は、翌営業日まで受け付けられます。この締め日は、2026年4月1日から毎月15日に変わりました。Wiz の告知では、受け付けの期限は営業時間内の17時までです
- 日割り: 月額固定料金は、契約が成立した月は課金されません。月の途中で解約しても、日割りの精算はありません(第3.1条4)
- 借りた機器: Wiz から借りた機器は、解約を届け出たあと返送します。返送の費用は利用者の負担です(第7.7条2)。期日までに返さないと、専用端末の販売価格にあたる額と消費税分の違約金を払う義務が生じます(第7.7条3)
機器の返却期日は、約款の中で書き方が食い違っています。第7.1条2では「解約申告日から3か月後の月末」、第7.7条1では「利用終了日の翌月末日」です。どちらが適用されるかも聞いておく項目です。
確かめ方: 契約期間、自動更新の有無、途中でやめたときの費用、機器の返却期日を、書面でもらいます。
6. 使う端末と、できないこと
まず、できないことを先に並べます。いずれも約款に書かれています。
- 緊急通報ができません。 この番号では、110・119の緊急通報は利用できません(別紙第2条)。緊急通報を使いたい場合は、NTT東日本・西日本などの固定電話を自分で用意する必要がある、と約款は書いています
- かけられない番号があります。 0120・0800・0570 などの番号には、発行された番号から電話をかけられません(第9.3条)。他社の電話中継サービスや、番号案内の104にも発信できません(別紙第3条3)
- 停電のときは止まります。 停電時は利用できません。スマートフォンのアプリだけは例外です(別紙第1条4)
取引先や問い合わせ窓口の番号が 0570 や 0120 のときは、携帯など別の番号からかけることになります。
サービスが3時間以上続けて止まった場合は、料金の減額があります。ただし、利用者が請求することが前提です。賠償の上限は、直近3か月に支払った利用料金の総額です(第8.1条)。
端末については、Wiz のサポートページに次の案内があります。
- スマホで使う場合、Wi-Fi は状況や時間帯によって不安定になるため勧めておらず、5G・4G を勧めている
- 1時間の通話で18MBのデータを使う
- OS の更新が止まっている、または遅いスマホと、ガラケーは勧めていない
- 電話機で使う場合は、インターネット環境が必須
Wiz 自身のメディア記事は、利用者の声として「Android端末で利用できないケースが多い」「音声品質が不安定な場合がある」「着信が正常にできない場合がある」を挙げています。Android のスマホで使うつもりなら、機種名を伝えて確かめておくのが無難です。
細かい点を2つ足します。相手に表示される番号は、設定をしていても、相手の端末によっては別の発信元番号が表示される場合があります(別紙第3条7)。また、通話の録音データやテキスト化したデータから、Wiz がサービス開発のための統計データを作ることがあり、その統計データの権利は Wiz にあります(別紙第9条3・4)。取引先との通話を録音する予定があるなら、読んでおく条項です。
確かめ方: 使うスマホの機種名と OS を伝えて、動作するかを聞きます。緊急通報用に、別の電話をどう残すかも自分の側で決めておきます。
クラウドPBXが向かない人
次のどれかに当てはまるなら、クラウドPBX を契約しないほうが合っています。
同じ番号から緊急通報をかけたい人
店舗や事務所で、その電話から110・119にかける場面を想定しているなら、加入電話などの固定電話を残す必要があります。固定電話を残すなら、クラウドPBX の月額はそこに上乗せになります。
拠点が、市外局番を取れる地域の外にある人
14都道府県の一覧に無い地域では、取れるのは 050 の番号が中心です。050 でよいなら、次の項目も読んでください。
電話がほとんど鳴らない人
電話が月に数本で、050 の番号でよいなら、クラウドPBX は要りません。050 のアプリ電話で足りる場合があります。先に挙げた LaLa Call は月額基本料が390円です。
電話に出る人手が足りないだけの人
困っているのが「電話に出る人がいない」ことなら、電話代行という別の方法があります。たとえば fondesk は、基本料金が月額10,000円(税別)で、電話の受け付けは50件目まで基本料金の中、51件目以降は電話ごとに200円です。最低契約期間は1か月です。対応するのは一次取次だけで、転送元になる番号は別に必要です。
補助金(デジタル化・AI導入補助金)は使えるか
補助金は使わないと損をする気がする。でも、本当に対象なのかを自分で確かめる方法が分からない。そう感じていませんか。
先に結論を書きます。補助金の公式サイトにある IT ツール検索で「CLOUDPHONE」を引いたところ、出てきた登録は1件でした。「CLOUDPHONE Plus_ビズプラン」という名前のツールで、事業者は株式会社Wiz、価格は360,000円でした(2026年10月1日に確認)。ただ、通常のプランがこの登録ツールに当たるかは、確認できませんでした。あなたの見積もりのプランについては、聞いて確かめることになります。
制度の要点は次のとおりです。
- この補助金は、2026年度から今の名前に変わりました。前の名前は IT導入補助金です
- 申請は、「IT導入支援事業者」を通すことが必須です
- 補助の対象になるのは、IT導入支援事業者が登録した IT ツールだけです
- 通常枠では、クラウド利用料は最大2年分が対象経費に入ります。補助率は中小企業で 1/2 です
補助の対象になりうるかは、業者の言葉ではなく、まずツールが登録されているかで分かれます。登録が無ければ対象になりません。確かめ方は2つです。
- 補助金の公式サイトにある IT ツール検索で、製品名を引く
- 見積もりのプランが、登録されている「CLOUDPHONE Plus_ビズプラン」に当たるか、360,000円に何が含まれるかを聞く
プランが当たっていても、登録は対象になるための前提で、申請は IT導入支援事業者を通す必要があります。
答えが書面で出てこなければ、補助金は無いものとして月額を計算しておくと、あとで計算が狂いません。
問い合わせる前に手元に置くもの
6つの確認を、そのまま聞ける形にしました。
- 拠点の市区町村で、市外局番が取れるか
- 登録する住所で申し込めるか。移転したら番号はどうなるか(書面で)
- 人数分の ID・番号・管理システム・通話料を含めた月額の合計(書面で)
- 初期費用の内訳と、初期の設定を誰がやるか
- 契約期間・自動更新・途中でやめたときの費用・機器の返却期日(書面で)
- 使うスマホの機種で動くか。緊急通報用の電話を別にどう残すか
補助金を考えているなら、7つ目として「見積もりのプランは、登録されている『CLOUDPHONE Plus_ビズプラン』に当たるか。360,000円に何が含まれるか」を足してください。
CLOUDPHONE に問い合わせる
問い合わせたら営業の電話が続きそうで、比較の記事ばかり読んでいる。そういう人もいるはずです。
問い合わせると、担当者から連絡が来ます。ただ、聞くことは上のチェックリストでもう決まっています。その連絡は、説明を聞く時間ではなく、あなたの条件で使えるかを確かめる時間にできます。地域・住所・月額のどれかが合わなければ、そこで話を止めて構いません。
CLOUDPHONE は事業で使う人向けで、Wiz は法人でも個人事業主でも利用できると案内しています。
リンク先のページは補助金を前面に出しています。IT ツール検索に登録されているのは「CLOUDPHONE Plus_ビズプラン」という名前のツールです。問い合わせのときに、あなたのプランがそのツールに当たるかを聞いてください。
まとめ
- 市外局番が取れるのは14都道府県の分で、それ以外の地域は 050 が中心になる
- 住所がバーチャルオフィスだと、契約を断られることがある。約款と Wiz の記事を読み比べても扱いがはっきりしないので、書面で確かめる
- 料金表の990円は市外局番の番号料金。月額の合計と通話料は、見積もりの書面でもらう
- 約款に契約期間と解約金の条項は無い。プラン側の条件を書面にしてもらう
- 解約は毎月15日の17時が締めで、日割りは無い
- この番号では110・119の緊急通報ができない。0120・0800・0570 にもかけられず、停電時はアプリ以外止まる
- 補助金は、見積もりのプランが「CLOUDPHONE Plus_ビズプラン」に当たるかを書面で確かめるまで計算に入れない
電話番のために出社している日を減らせるかどうかは、この6つの答えで決まります。担当者から連絡が来たら、チェックリストを上から順に聞いてください。